報告を纏めるとこうだ。

宴もたけなわとなり、飲み水の確保を始めようと若手の中から数名水瓶を持たせ溜池に向かわせた。

その溜池は里の東部に位置する森の奥にある、里にある唯一と言っていい水源だ。

後は、里から少し離れた子供達が良く遊びに行く川しかない

だが、里から近いし、湧き水から流れてくる為水は極めて綺麗である為こちらをよく利用する。

「・・・待て皆」

そして溜池までもう直ぐと言う時一人が全員を止める。

「どうした?」

「なんか妙じゃないか?」

「妙って?」

「上手く言えんが空気が張り詰めているような・・・」

「そんな筈ないだろ。とにかくさっさと・・・」

そう言って足を踏み込んだ時、かすかに糸が切れる音がする。

「おい・・・なんだ?今の音・・・」

と同時に、一歩踏み込んだ男が片足で吊り上げられる。

「う、うわああああああ!!」

「こ、これって罠?」

と、同時に

「来たわよ!!男共が!!」

「皆、景気付けよ!全員捕まえなさい!」

辺りから女達が一斉に現れ次々と手に持った捕縛用の投げ網を投げ付ける。

次々と網に囚われて捕縛されていく。

結局、どうにか一人だけ屋敷まで逃げ延びたと言うわけである。

「・・・この手馴れた罠の手腕・・・妃か」

「おまけにいち早く水場を封じ込んだ・・・真姫の奴、本気で俺達を潰しにかかっているな」

報告を聞き苦虫を噛み潰した表情で言い合う黄理と楼衛。

「これで俺達はますます短期決戦しか手が無くなった」

「どう言う事なの?父さん」

「ただでさえでも食料は少ない。おまけに止めとばかりに水を断たれたんだ。人間食い物が無くても多少は持ち堪えられるが水が無くなればどうする事も出来ねえ。水はどれ位残っている?」

「はっ・・・風呂や洗濯等の生活用水も飲み水に回したとしても・・・もって四日」

「それだけか・・・」

「じゃあ父さん、母さん、僕達を干上がらせる為に?」

「そう見て間違いねえだろうな・・・改めてあいつを怒らせたらやばい事が良くわかった」

黄理には何故真姫が怒っているのかその理由はわかっていた。

おそらく志貴達をこちらに引き込んだ後、翡翠達が泣いたのだろう。

ただでさえ二人に大甘に甘い真姫が二人の泣き顔を見て、どんな反応をするのか?

火を見るよりも明らかな事だろう。

「じゃあ・・・僕の」

「いや、そこまで考えの及ばなかった俺の責任だ」

落ち込む志貴に不器用ながら慰める黄理。

「それでどうする黄理・・・今夜は様子を見るか?」

「そうだな・・・」

思案に暮れる黄理。

互いの事をなまじに知り過ぎている為、それが逆に互いの枷となりうかつに動けない。

だが、動かずにこのままジリ貧になど行く訳にはいかない。

そこに、

「御館様!!」

晃が進言する。

「御館様、俺達が侵入して内から罠を外します。そうしたら合図を送りますから御館様も進軍してください」

「内と外からの挟み撃ちか・・・」

「晃、そいつは危険だぞ」

「判っているよ父ちゃん。でもさ、このままだと俺達ジリ貧だぜ」

「だがな・・・」

「いや兄貴、晃の言うとおり、俺達には危険な橋しか渡る他無い。それならばむしろ、女連中の警戒が薄い今の方が仕掛け易い。ここは晃達に任せて見るのも一つの手ではないか?」

「だが黄理、真姫の事だ。もしかしたらそれも予測して待ち構えているかも知れねえぞ」

「だが、予測してない可能性もある」

「確かに・・・女共も水場を抑えられたと俺達が知った事で対策に苦慮していると思い込んでいるかもしれないな・・・」

王漸もしばし思案して頷く。

「賭けだが仕方あるまい」

「ああ」

「よし、これで決まりだ。晃、誠。お前達は子供達を率いて森西部から迂回する形で女達の後方に回りこめ。俺達は普通に進軍して注意を引く。そして志貴、お前は単独で森東部からやはり迂回して遊撃の任に当たれ」

『はっ!!』









一方・・・王漸の屋敷でも今後の作戦を練り始めていた。

「義姉さん、今溜池を警戒していた子達から連絡あったわ。男達を数名捕縛したって」

「そう、捕えた男達は牢屋に放り込んでおいて。それで一人だけ逃がした?」

「ええ、今頃水場を押さえ込んだって事が伝わっている筈よ」

「まずは第一段階クリアね」

妃より報告を受けた真姫は薄く笑う。

「水場の警戒は最小限の人数だけにして半分は正面の警戒、残り半分は全て森の警戒に入るように伝えて」

「はい」

伝令にそう伝える。

その様な指示が次々と伝令を通じて全軍に通達される。

「真姫様、全軍指示通り部隊再編を終わりました」

「ええ、ご苦労様、警戒態勢を続けるように伝えて」

「はっ」

伝令が立ち去ると富美が尋ねる。

「真姫、それにしても良かったのかい?わざわざ逃がして」

「ええ、短期決戦で決着を着けたいのは私達も御館様も同じ。それでも動いて貰う様に持久戦の考えを完全に無くさせるのが今回の目的ですから」

「義姉さん。本当に男達は今夜仕掛けてくるのかしら?」

「多分ね。御館様達の水はそれほど多くない。若干の不安にも煽られている筈よ・・・そしてルートとしては正面に陽動として進軍して、本命は東西から迂回して私達の後方を伺う部隊よ」

「そうなると陽動には子供たちかしら?」

「そう見て間違いないわ。でも・・・志貴は本隊にいるかもしれないわね」

「あと、晃君に誠も」

「ええ、その上で本隊を壊滅したら陽動部隊も殲滅するわ」

「はい」

と、そこに伝令が

「真姫様」

「どうしたの?」

「男達がこちらを目指し進軍を」

「そう・・・で戦力は?」

「そ、それが・・・御館様が指揮している大人達が」

「「「!!!」」」

その報告に立ち上がる。

「本当なのかい!!」

「は、はい、遠目が御館様、楼衛様を始めとする主力を確認しています」

「どういうこと?まさか真正面から?」

「いや、そんな馬鹿な事を黄理がする筈無い。万が一誰かが提案したって家の旦那が反対するよ」

妃と富美が意見を交わす中真姫は険しい表情で地図を眺める。

「も、申し上げます!!」

とそこに新たな伝令が駆け込む。

「今度はどうしたの?」

「森東部で警戒していた部隊が志貴君と遭遇、戦闘状態に入ったとの事です」

「志貴と?」

「はい、ですがその後、志貴君は森に撤退したとの事です」

「真姫、どうする?」

「義姉さん、直ぐに戦力を東部と中央に」

「待って・・・志貴しか見ていないの?」

「えっ?はい、報告では志貴君一人との事です」

それを聞いて真姫は決断する。

「伝令」

「「はい」」

「森東部の戦力をさらに半分、西部に差し向けて」

「と、東部の戦力を更にですか?」

「ええ、おそらく東部には志貴しかいない筈。志貴が出てきても罠を駆使して防衛に努めて。決して打って出ようとは思わないで。正面の部隊も防衛体制を整えたまま待機。残りは西部から来るでしょう、迂回部隊の早期の殲滅に心掛けて」

「「はっ!」」

伝令達は足早に部屋を後にする。

「真姫、東部の戦力を減らしすぎじゃないのかい?」

「義姉さん。もし志貴君の後ろに本命がいたら・・・」

「いえ」

二人の懸念に真姫は自信を持って断言する。

「もし、正面に子供達がいるようだったら志貴を先陣にして後方に本隊がいるように思えたけど・・・ふふっ、御館様もまだ甘いわね。志貴を単独で動かしたって事にはさすがと思うけど、まだ、集団戦というものを何たるか知らないわ」

「どう言う事なの?」

「あまりにも早く御館様達が姿を現したのよ。どうせなら誰よりも早く志貴を遊撃に出せば私も騙されたかも知れないけど、同時に動いてしまったから後ろに本隊がいる選択肢は消されたのよ。他の男の子達じゃ志貴の足手まといにしかならない。志貴と上手く連携を取れるなんて御館様を始めとする大人しかいないもの」

「なるほど・・・そうなると西部に?」

「ええ、きっと男の子達が潜入しようとしている筈。富美伯母様、妃、あなた達も西部に応援に向かって」

まさしく裏の裏をかきあう心理戦となった。









その頃、前方には女達が手ぐすね引いて待ち構えているとも知らず、晃達迂回部隊は森の中を慎重に歩を進めていた。

既に時間は草木も眠る丑三つ時。

「どうだ?」

「今の所は異常無い」

「お母さん達、御館様や志貴の動きに惑わされてこっちの方は疎かになっているのかも」

「油断するなよ。それでも警戒だってあるに違いないんだから・・・皆森から抜け出たら手分けして罠を外す係と母ちゃん達を撹乱する係に分かれて暴れるぞ」

『うん』

全員小声で頷く。

だが、そこに

「まあ、あんたにしちゃまともな作戦だね。晃」

「そりゃそうだよ俺だって・・・!!!」

ありえない声を聞いた晃は硬直する。

紛れも無くそれは富美の声。

「ただねえ・・・あんた達飛んで火にいる夏の虫だよ」

いつの間にか周囲から気配が飛び交っている。

「ま、まさか・・・」

「誠・・・お母さんは悲しいわ、あなたがそんなに薄情な子だったなんて」

「お、お母さん・・・」

更に響く妃の声に誠も蒼ざめる。

「だから全員お仕置きしないと」

「!!み、皆散れ!散って御館様に!!」

『う、うん!!』

奇襲が作戦のメインだったのが逆に待ち伏せを受けた。

作戦は失敗したに等しい。

今は一刻も早く黄理に失敗を伝えなければならない。

その思いを胸に晃は全員に号令をかける。

無論他の子供達も捕まればどんな眼にあうかなど判りきっている。

死ぬ気で逃げ始めた。

「皆!!一人も逃がさないで!!」

「全員とっ捕まえるよ!!」

だが、それを無論見逃す気も無い南軍も捕縛の命令を下す。

ここで子供達を殲滅すれば情報面で孤立した黄理達主力と志貴を分断した上でゆっくりと撃破して行けば良い。

その有利さを熟知している真姫は子供達全員の捕縛を徹底している。

その瞬間女性軍の追撃戦が、子供達の撤退戦が始まった。

だが、通常逃げる側と追う側とでは後者の方が圧倒的に有利。

それも十分な訓練を受けていない子供達ならばその不利は火を見るより明らか。

次々と子供達は投げ網に囚われ重りの付いた縄に足元を掬われ、捕縛用の罠に捕まりその数を減らしていく。

「どうだい?」

「だめ、晃君を逃したわ」

「こっちも誠の奴を逃がしたよ。まったく逃げ足も速い」

妃が残念そうに、富美は忌々しそうに報告しあう。

確かに子供達の大半を捕えたが、晃と誠のみは猛攻の手を掻い潜り離脱していた。

「流石に簡単には捕えられないようね」

「義姉さん?」

真姫が現れる。

「ご苦労様妃、あなたは直ぐに部隊を東部に差し向けて。今は志貴を上手くあしらっているけど、もし、志貴が侵入を目的とした行動に出たら防ぎきれない。あっと言う間に御館様を中に導いてしまう。そうなれば私達の勝ちは無くなるわ。急いで守りを固めて」

「はい、でも晃君と誠は」

「心配は要らない。もう第二の追撃部隊を差し向けたから。それと富美伯母様は念の為に一帯の哨戒を」

「任せておきな。蟻一匹だって入れないさ」

「お願いします。他の子は男の子達を運んで」









その頃・・・

「はあはあはあ・・・やっと振り切ったか?」

「そ、その・・・ようだね・・・」

「結局俺とお前だけか・・・」

その言葉通り、周囲には彼ら二人しかいなかった。

「みんな捕まったのかな?」

「だろうな・・・それよりもここで良いから合図の花火を」

「うん、確か失敗は赤だったね」

「ああ、急げよ何時追っ手が来るかわからねえんだし」

「判って・・・!!晃!」

誠の掛け声を合図としたかのように気配がひしひしと迫ってくる。

「判っている。もうきやがった」

そう言って、鍛錬用の木製戦斧を構える晃。

だが、そこに現れたのは意外にも

「!!!ゆ、雪」

「・・・」

無言で晃に冷たい視線を投げ付ける雪がいた。

その両手にはやはり鍛錬用の木製の短剣を持って。

「晃・・・捕まえる」

「そうよ!誠!あんた達今度こそ年貢の納め時よ!」

続いて小夜が現れる。

こちらは姉とは打って変わって怒りに燃えた視線をこちらに・・・いや、誠に向けてくる。

「えっと・・・小夜ちゃん・・・」

誠も困惑しながら木製小太刀を構える。

「二人だけか?だとしたら甘く見られたな」

「何言っているのよ・誰も二人なんて一言も言っていないわよ。ねえ皆?」

『うん!!』

応じる声が周囲一帯から響く。

「ま、まさか・・・」

「女の子達全員?」

「そう言う事よ!さあ誠!おとなしく降伏する?」

「そうしたら少しお仕置きするだけで済むよ。晃」

「どちらにしたってお仕置きは免れないんだろ?」

「だったら・・・」

「「逃げるしかねえだろ!!」」

そう言うと再び、二人は逃げ出す。

その前を数名の女の子達が立ちはだかるが

「どけどけ!!」

−閃鞘・七夜―

「動くと危ないよ!!」

―閃鞘・八穿―

二人は一瞬でそこを突破する。

だが、直ぐに新手が現れる。

それでも止まる気の無い二人は突破しながら逃走を続ける。

その間にも女の子達は捕縛用の投げ網を投げ付けるが小夜を除けばやはり精度は低い。

また雪を始めとする白兵部隊も肉薄するが晃のパワー戦法と誠の手数の前にどうしても追い詰める事が出来ない。

だが、追われている方も絶対有利と言う訳でもない。

「おい!合図は!」

「無理言うな!追われていてそんな事出来るか!!」

全力で逃げなければ雪達に追い付かれるだけに留まらず、小夜達の投げ網の餌食となる。

スピードを落とす訳には行かない。

「くそっ!!誠!俺が雪達を食い止める!お前はその内に!」

「・・・判った!!晃!」

そう言うと、誠は直ぐに火種を取り出し、火を灯し始め、晃は追いついた女の子達を対峙する。

「おらおらおらおら!!!!傷物にされたくなかったら近寄るな!!」

戦斧を振り回しながら晃は叫ぶ。

いくら木製でも先の尖っている箇所では傷は出来る。

またその勢いに女の子達は近寄る事も出来ない。

「雪ちゃん・・・」

「だめ・・・」

他の子の要請に雪は首を横に振る。

彼女の武器は細い短剣、不意を突き暗殺にはもってこいかもしれないが、真正面から打ち合うには不向きも良い所、出来る事ではない。

「小夜ちゃんが来るまで待たないと・・・」

「お姉ちゃん!」

そこにタイミング良く小夜達投擲部隊が駆けつける。

「小夜ちゃん、晃を止めて・・・」

「任せてお姉ちゃん!!」

そう言うと、小石を一つ持つ。

「皆!石を晃に投げて」

そう言うと、女の子達が一斉に小石を投げ付ける。

一つ一つはてんでばらばらの方向に飛んでいくがこれがまとまれば一個や二個は命中する。

その対処に晃が思わず気を取られた瞬間、雪達が晃の至近まで肉薄する。

「うわっ!!」

とっさに構えようとしたが次の瞬間には雪の短剣が晃の手から戦斧を叩き落し、数名が圧し掛かり、晃は押し潰されてしまった。

「ぐえっ!!お、重い!!」

そんな本心から出た言葉に

「へえ・・・そんな事言うんだ・・・」

一人が青筋を立てている。

だが、その瞬間、夜空に赤い花火が上がった。

「よしっ!!」

晃が押し潰されながらもガッツポーズを取る。

「晃!!」

誠が近寄ろうとするが

「誠!さっさと行け!」

晃の一言に頷いて身を翻そうとした。

だが、

「逃がすと思ってるの!!誠」

小夜の投じられた投げ縄が誠の両足に絡み付き誠はつんのめる。

「うわわっ!!」

「皆早くふん縛って」

雪の一言で晃と誠は縛られると言うより簀巻き状態にされてしまった。

「さー皆帰るよー!」

「帰ったら男の子達皆お仕置きだね」

そんな事をわいわい言いながら女の子達は帰路についていった。









一方・・・陽動の為に攻めては退くを繰り返していた志貴だったが不意に赤い花火を見てその表情が変わる。

「えっ?作戦失敗??」

慌てる志貴だったが、直ぐに退却を決意した。

見ればどんどんと南軍の守りが厚くなっている。

これでは今度はこちらが危うくなる。

「一旦父さんと合流しよう」

そう判断を下し志貴はこの場を離脱した。









「義姉さん。志貴君撤退したわ。多分御館様と合流したと思うわ」

志貴の離脱を確認した妃が真姫に報告を入れる。

「そう・・・やっぱり攻め込まないわね。まあ仕方ないけど」

「それでどうする?」

「方針は変わらないわ。基本としては守りに専念して。それと男の子達は?」

「雪達が先頭きってお仕置きの真っ最中だよ」

「あらあら、それは可愛そうに」

可笑しそうにくすくす笑う。

「それで真姫、黄理達今後はどう動くかね?」

「そこまでは流石に。でも作戦が失敗した事で更に追い詰められている筈。玉砕覚悟の突撃を仕掛ける可能性があるわ」

「だけど今夜はもう無いと?」

「ええ、おそらく明日の夜、動くとすればその時ね。それで決着を着けるわよ。取り敢えず交代で休憩を取らせてあげて」









その頃、失敗の合図を見た北軍は屋敷まで撤退した。

「・・・迂回部隊は戻らずか・・・」

「その様だな・・・」

苦渋に満ちた表情で楼衛が呟き王漸が頷く。

しかも、撤退する前に南軍の追撃をしたたかに食らい、捕縛された戦力は想像以上に大きかった。

「志貴は?」

「まだのよう・・・」

「帰ってきた」

その言葉と同時に襖が開き、志貴が入ってくる。

「父さん」

「志貴帰ってきたか・・・」

一同が安堵して息をつく。

志貴まで失う事になればこの戦いは完全に自分達の敗北となる。

「うん、他の皆は?」

「子供はお前だけだ」

「じゃあ・・・」

「ああ、全員捕縛されたんだろう・・・」

「黄理これからどうする?若い連中を中心に動揺が広がっている」

「うん、皆そわそわしてたよ」

「このままだと・・・」

「判っている・・・」

そう言って黄理は思案に暮れる。

「・・・兄貴、爺さんひとまず今夜は休養を取らせてくれ・・・明日勝負をかける」

「明日?」

「ああ、どちらにしても今夜再度の襲撃は不可能だろう。まずは全員の動揺を抑えねえと」

「仕方あるまい・・・わかった。殴り飛ばしてでも落ち着かせてくる」

「早速行って来る」

「ああ、任せたぞ・・・志貴、お前は先に寝ておけ。明日もお前には働いてもらわないとならないからな」

「はい」

こうして、開戦から二日目の日中はお互い動かず夜にこの南北戦争は終幕を迎える事となった。

結(三日目へ)                                                                        承(一日目へ)